No.3 1993年6月
【奥付の表記について】
 奥付とは、本の一番うしろにある定価や発行所などを記した頁のことです。小社では、以下のようにしています。

 1 検印を実施する。
 2 発行日の表示を月までとして、日は示さない。
 3 発行部数を明記する。
 4 発行者を書かずに、発行所のみにする。

 このうちの1・3は、すでに私が名著出版にいた時から実施していたものですので、説明は省略して、2・4について一言。
 2の発行日とは、一体いつの日をさすのでしょうか。見本ができた日、製本屋さんでできた日、出版社に納品された日、取次店に配本した日…、急いで半分だけ製本してもらった場合は一体いつ? 本屋さんで手にとった本の発行日が1週間も先の日付だった、というのはよくあること。月刊誌にいたっては2ヵ月も先のものがでます。もっとも、正確に表示しようと思っても、奥付の校正段階で発行日を正確によむのは難しいのですが…。というわけで、発行月だけの表記にしました(といった舌の根もかわかぬうちに、小社の第3冊目『説話文学会会報』の発行日は日まで表記しているのですが)。
 4の発行者とは、原則として発行所の社長の名前です。でも、知らない人は、著者の横に名を連ねている人は一体だれだろうと思うのではないでしょうか。著者・発行者・発行所と3つならんでいて、発行者と発行所との関係はどこにも書いていないのですから。
 いずれも私の独創というわけではありませんので念のため。
     
  1・3の説明をしておきましょう。検印を省略しだしたのは、いつごろからのことなのだかよく調べていませんが、理由は、製本段階での手間がかかり原価が高くなるからです。しかし、それによって著者との信頼関係が薄れたことは確かでしょう。小社では原則として、1000部以下の場合は検印を実施しています。1000部以上になると、製本屋さんの手間を考えると頼みにくい。また、発行部数の表記は、部数が少ないので定価が高いということへの言い訳でもあります。発行部数が少ないことは、恥ずかしいことでもなんでもないと思うのですが…。

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