カミと王の呪縛
 ‐日本中世のNATION3‐

永井隆之・片岡耕平・渡邉 俊 編

2013年9月刊
A5判・214頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-811-0 C3321
2800円 (税別)
評者:黒瀬にな(『国史談話会雑誌』55  pp57-64  2014.11  東北大学国史談話会)

前2書『日本中世のNATION−統合の契機とその構造』2007、『検証 網野善彦の歴史学−日本中世のNATION2』2009、に続き、2010年8月に仙台で開催されたシンポ「カミと王の呪縛−人びとを統合するもの」をもとにした論集。古代の「神国」形成前から近代天皇制まで射程を広げ、ナショナリズムの基点を中世に求める。全3冊・完結。
【主要目次】 
天皇制と近代政治思想における公/私区分 仲正 昌樹
  丸山眞男の天皇制論/
  神話と歴史と宗教/
  天皇制の美的次元/
  主体性のミメーシスと天皇制
主権及び天皇制の起源 −方法序説−
小路田泰直
  人身御供の創出/
  理性への期待/
  近代の選択 −理性か人身御供か
貞観新羅海賊事件と神国の転換
 −「「神国」の形成」以前−
片岡 耕平
  契機とその構造/
  貞観十一年の神国/
  「故実」の原点/
  新たな要素が加わるまで/
  常態としての神国
「天皇」と「人間」
 −和辻哲郎と坂口安吾の天皇論−
先崎 彰容
  天皇とは何者なのか−和辻哲郎と坂口安吾/
  「堕落」の一般的イメージ/
  なぜ和辻は「生きた全体性」「伝統」にこだわるのか/
  和辻のいう「堕落」の意外な帰結/
  安吾から和辻へ−象徴天皇とは何か
中近世移行期の系譜認識にみられる神と王
 −神・王の社会的必要性−
永井 隆之
  「神」や「王」とは「われわれ」にとっていかなる存在か/
  領主層の系譜認識/
  非領主の系譜認識
八世紀の図讖と皇位継承
 −孝謙・称徳天皇を中心に−
堀   裕
  皇位継承の前兆と預言/
  皇位継承と識
救済・他界観の日欧比較試論
 −「個人」成立の問題をめぐって−
渡邉  俊
  「個人」の成立/
  懺悔とconfessin/
  日本中世における他界観の変化は何をもたらしたか

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