日本中世のNATION
―統合の契機とその構造―


永井隆之・片岡耕平・渡邉 俊 編

2007年12月刊
A5判・168頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-490-7 C3021 \2200E
2200 (税別)
本書は、2006年8月21日に岩手県平泉町で開かれた、中世史サマーセミナーのシンポジウム「中世における統合の契機とその構造」の報告を基礎にしている。本書のタイトルは、上記のテーマを明らかにすることを通じて、現在の 「NATION」=「国民」・「国民」共同体、あるいは <われわれ意識> の歴史的深みを説明できると考えたことによる。
永井:早稲田大学日本宗教文化研究所客員研究員(1971年生)
(お詫び:「岩田書院図書目録2008」に「早稲田大客員研究員」とあるのは誤りです) 
片岡:東北大大学院(1976年生)
渡邉:東北大大学院(1977年生)

【主要目次】 

「世界」はいかにして「統合」されるのか─────新田 一郎
権力が人間世界内化し、フィクティブな自明性を獲得する過程や対外関係の推移 に目を配りながら「鋭い輪郭を持った包括的な集合」としての「日本」が前近代に存在したことを説く。
「神国」の形成─────片岡 耕平
日本中世社会に生きた人々が「神国」―人間が神々に対して一定の責任を負うべき国―に生きているとの意識を共有するに至る過程を「穢多」認識の変化を踏まえて明らかし、〈われわれ〉意識の形成を〈他者〉認識の変容によって跡付ける。
滅罪と安穏─────渡邉  俊
 「滅罪」と「安穏」との密接な関係性について主に寄進・年中行事・戦後処理政策などの考察から析出した上で、それによって人々の間に生じる共通性・共同性を論じている。
日本における「国民主権」の起源─────永井 隆之
現行憲法にある「国民主権」の起源を、中世後期の人々が自らを敗北・反逆の王・神の子孫と主張していたことを手がかかりに考察する。
シンポジウム─────佐藤 弘夫
「中世における統合の契機とその構造」を聞いて
中世社会に統合はあるか─────小路田泰直
−近代史家からの意見−
全体討論


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