中世京都 闇と陰の世相史年表 応永８年−文禄４年（1401-1595） 小高　恭 編 （元 帝塚山学院大学教授／1937年生まれ） 2010年７月刊　 Ａ５判・508頁・上製本・函入 ISBN978-4-87294-633-8 C3021 9500円（税別）

室町時代以降の女房詞と芸能史の研究を続け、公家や僧侶の日録繰り返し読み調べ、研究に必要な宮廷文化や芸能上演の華やかな光の面を抜き出してきた編者は、それを『お湯殿の上の日記 主要語彙索引』『芸能史年表』（いずれも岩田書院刊）を著してきた。 本書は、それらの対極にある、闇に隠れた陰の面、多くは歴史の表舞台には出ない多様な事象――、妖怪変化、地震・日照り・洪水等の天変地異、疫病、飢饉、合戦、焼討、盗賊、火事、密通、姦通、殺人、博打、浮説、雑説、珍聞、奇聞などを抽出し、編年順に原文を抄録し、京都の中世二百年間の「世相史年表」として公刊した。 いったい如何なる事象が、中世の京都において起きていたのか…

・まがまがしき妖怪変化･死霊生霊･怪異現象･人魂･光物･鳴動･破裂の類から天狗の出没。

・徒党を組んだ強盗夜盗の略奪のすざまじきものから、小盗人まで。

・広範囲の火事や小火騒ぎは止むことなく、一揆も頻発し、徳政の騒動も数多い。

・人間の生臭い密通事件は、御所方も武家も僧侶も庶民も変わらない。

・天変地異等自然現象の災厄･日照り・大水、連続する地震、疫病･飢饉も繰り返し襲う。

・比較的無事な時なら、勧進興行に群れ、祭りに集まり、六条河原で処刑するのを見物。

【収録史料】 康富記・教言卿記・満済准后日記・山科家礼記・経覚私要鈔・看聞御記・師郷記・蔭凉軒日録・大乗院寺社雑事記・後法興院記・親長卿記・言国卿記・実隆公記・長興宿禰記・お湯殿の上の日記・晴富宿禰記・多聞院日記・鹿苑日録・北野社家日記・宣胤卿記・二水記・言継卿記・後奈良天皇宸記・兼見卿記・言経卿記 ＊通覧の便宜のため、記事内容の見出し語を太字でしめし、その後に必要記事を引用する。