近世の編纂物を無批判に使用して描かれた歴史像を問い直す――。
本書は、備前国に興った地域権力 宇喜多氏の、ことに豊臣政権期における動向について、根本的・基礎的な検討をしたもの。
宇喜多氏の領国支配の実態や、豊臣政権との関係について、これを体系的に読みとることのできる史料群は残されていない。岡山藩士 土肥経平(1707-82)の編著『備前軍記』を主体に語られることの多かった備前の戦国・織豊時代史を、同時代の一次史料に加え、近世編纂物を批判的に検証し、宇喜多氏の実態に迫る。
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【主要目次】 |
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序 論 |
宇喜多氏研究の現状と課題 |
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第1部 |
宇喜多秀家と豊臣期宇喜多氏権力 |
第1章 |
宇喜多秀家論
(秀家の政治的位置/
豊臣政権と宇喜多氏) |
第2章 |
宇喜多氏家臣の叙位任官
(一般的認識とその問題点/
官途・受領名と叙任時期の個別検討/
一斉叙任の可能性とその時期) |
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第2部 |
秀吉死後の宇喜多氏 |
第1章 |
宇喜多騒動の経緯
(一般的騒動像とその問題点/
一般的騒動像の再検討/
騒動惹起と豊臣政権) |
第2章 |
宇喜多騒動の展開と結果
(騒動の勃起と一次収束/
騒動の長期化と「おとなども出入」/
騒動の結果とその原因)
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第3章 |
宇喜多秀家の関ヶ原合戦
(秀家の動向と立場/
挙兵に至るまで/
参戦の経緯)
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第3部 |
宇喜多氏をめぐる群像 |
第1章 |
宇喜多忠家
(宇喜多直家期/
宇喜多秀家期−家督譲渡前・譲渡後) |
第2章 |
浮田左京亮
(家督継承/
洗礼/
宇喜多騒動と関ヶ原合戦/
その実名) |
第3章 |
長船紀伊守と中村次郎兵衛
(長船紀伊守/
中村次郎兵衛) |
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終 論 |
宇喜多氏研究のこれから |
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