かつて、ひなびた片田舎の隅々まで、語り物や歌い物、民謡やはやり唄を送り届けた盲目の女性唄芸人−瞽女。瞽女仲間の活動は、近世中頃より末頃にかけてが最盛期であり、明治以降、急速に衰えたが、越後では明治期にも、長岡瞽女や高田瞽女など、七百人ほどの日本最大の瞽女集団を形成していた。
瞽女門付けの最後を飾ったのは、長岡瞽女の金子セキさん・中静ミサオさんと、手引きの関谷ハナさんの三人組であるが、それは昭和52年の春旅をもって終わり、これで、日本の門付け瞽女の実働の姿を見ることに、終止符が打たれたのである。
著者が調査に入ったのは、越後瞽女の巡業活動の最末期であったが、本書は、当時の貴重な写真や聞き書きなどをもとに、盲目の旅芸人の姿を描く。 |