「本書は、2006年7月に開催された武田氏研究会総会において、「武田氏研究の新展開」と題して実施されたシンポジウムを基盤にしている。しかし実際には、シンポジウムの準備として始められたワーキンググループという勉強会の活動の成果としての方が、実態に即しているといえるだろう。(中略)
私たちがとった方法は、戦国大名武田氏をフィールドに、これまで戦国期研究の論点であった諸問題をテーマに、@各執筆者に徹底した研究史の把握と、それをもとにした課題の提示、Aその課題を解き明かすために、テーマに沿った基礎研究を行うこと、B各テーマごとに、他大名と比較検討を行い、武田氏と他大名との共通点と相違点を明らかにすること、Cそのうえで、武田氏の権力構造と領国支配の特質を前面に押し出すこと、などであった。私たちには、こうした試みこそが、武田氏をも含んだ新たな戦国大名概念の基礎となりうるであろうと思われたのである。」(本書「あとがき」より) |