近松以後の人形浄瑠璃
近世史研究叢書⑱


黒石 陽子 著(東京学芸大学教授)

2007年2月刊
A5判・A5判・362頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-457-0
6900円 (税別)
人形浄瑠璃の時代物作品をとりあげ、原作の文章に立ち戻り、近松門左衛門をはじめとする作者たちが作り上げた作品世界を、正確に読み解き、その精神世界を明らかにする。

【収録内容】  
第1章 近松門左衛門の作劇法-近松の人間観
第1節 近松の人物造型
第2節 『国性爺合戦』考-三段目の老母像を中心に
第3節 『国性爺合戦』試論-老母像造型の意味
第4節 『用明天王職人鑑』における仏教の救済
第5節 近世演劇と『曾我物語』-近松の曾我ものに見られる作劇法をめぐって
第2章 近松没後の竹本座と豊竹座の作劇法-伝承の解釈と時事の取入れ
第1節 『工藤左衛門富士日記』小考-「鶴殺し」と吉宗による幕府放鷹制度の復活
第2節 大仏殿万代石楚』-浄瑠璃における景清像の到達点
第3章 文耕堂の作劇法-奇抜な発想と歴史へのまなざし
第1節 『ひらかな盛衰記』論-勇士としての救済と鎮魂
第2節 『ひらかな盛衰記』序切の意義-木曾義仲の解釈をめぐって
第3節 時代浄瑠璃における歴史解釈-木曾義仲の造型をめぐって
第4節 『御所桜堀川夜討』考-文耕堂の素材解釈の独自性
第5節 浄瑠璃作者文耕堂の特色-『三浦大助紅梅靮』を中心に
第4章 最盛期浄瑠璃の作劇法-先行作品の解釈と趣向の充実
第1節 合作期浄瑠璃が見出した「卿の君」-頼朝・義経の不和をめぐって
第2節 朱の鳥居・玉垣と義経・狐忠信-『義経千本桜』と伏見稲荷
第3節 『仮名手本忠臣蔵』における刃傷事件脚色の方法
第5章 近松半二とその後の展開-個の発見
第1節 『役行者大峰桜』考-「逆転」の局面の作品構造における意味づけ
第2節 近松半二の描いた「文禄・慶長の役」
第3節 夕顔棚とさつき-『絵本太功記』十段目の読み

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