自文化意識の形成と展開
「国風文化」を生んだ思想
古代史研究叢書16

坂口(さかぐち) (けん)
(太宰府市教育委員会/1985年生まれ)

2025年5月刊
ISBN978-4-86602-186-7 C3321
A5判・226頁・上製本・函入

4800円 (税別)
 「本書では平安時代人自身の意識を解明するための方法として「自文化意識」という本書独自の概念を用いる。(中略)
 以上の構成により、九世紀前半に自文化意識が表出し、それが次第に拡散し、ついには宮廷社会にも継承されていく様相を、それぞれの時代背景と関連付けながら考察する。それにより、平安時代前期における文化形成の過程と原因を、文化を担った人々自身の意識の観点から解明する。」(序章より)
【主要目次】
 
序 章
 (「国風文化」という呪縛/「国風文化」の歴史/
 本書の視角と方法/本書の構成)

第一部 自文化意識の表出
第一章 『日本霊異記』の論理
 (『霊異記』の目的/『霊異記』に描かれた霊験譚/
 「善悪之状」―基準としての仏教/「因果之報」―感応する神仏/
 非因果譚の意味―仏法の普遍性)
第二章 景戒とその時代
 (景戒の経歴と人物像/『霊異記』を生んだ時代/
 景戒の瞳に映った時代/桓武・嵯峨朝への反骨)
第三章 「自土」の言語化
 (『霊異記』の自文化意識/
 国家の歴史を書く―『古事記』と『日本書紀』/
 国家の歴史を読む―「日本書紀講書」/嵯峨朝の漢文学/
 自文化意識の言語化)

第二部 自文化意識の展開
第一章 興福寺大法師等の長歌
 (仁明天皇四十算賀/「興福寺大法師等の長歌」の内容と表現/
 『続日本後紀』による絶賛)
第二章 「長歌」と仁明天皇の時代
 (藤原良房と和歌/仁明朝の対外関係/「長歌」の歴史的意義)
第三章 自文化としての漢詩―『日観集』序
 (詩と歌のあいだ/「漢家の謡詠」と「日域の文章」/
 村上天皇と大江維時/僧侶から宮廷へ)
第四章 自文化意識を生んだ対外姿勢
 (貞観11年の新羅海賊事件/貞観13年の渤海使来着とその対応/
 渤海と新羅の待遇格差/自文化意識と対外姿勢)
終 章 (自文化意識の足跡/国風文化と自文化意識)
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