土田賢媼の昔語り
―口から耳へ 耳から口へ― 


杉浦 邦子 編著
(日本口承文芸学会会員/1943年生まれ)

2005年3月刊
A5判・306頁・上製本・カバー装
ISBN4-87294-369-4
6900円

「1993年11月21日、山形県最上郡真室川町にある姉崎病院の一室で、土田賢媼の昔語りを聞いていた。「どや昔」という珍しい昔話を、媼独特の語り口で聞いているうち、私は 背 中がゾクッとするのを覚えた。魂が揺さぶられるような、身内が震える思いであった。カミの宿る語りに出会った、と思った。この土地のあらゆるものに宿り、土地の言葉に宿るカミ。言霊はあると、確信した瞬間でもあった。」      (本書「はじめに」より)
本書は、土田賢(1924-2004)の昔語り23話を収録。「口から耳へ、耳から口へと伝えられた昔」が語られた場の雰囲気と臨場感を留め、動態としての姿に近づけるように翻字する。
あわせて、昔語りが生まれる背景となった賢媼の生活誌をあきらかにし、さらに、語り手と聞き手とが、響き合うリズムをもち、それによって昔話も変容することを検証する。

【主要目次】

第1章 賢媼の生活誌−生活譚でつづる−
 故郷と生家/正源寺のゲン子さん/正源寺の爺さま/結婚生活/空 襲/別 家/べこを飼う/布団屋の仲介/親の背を見て育つ子ら/嫁貰い/賢さんとの出会い/伝承の語り手と現代の語り手の交流/地獄極楽図の前で/口から耳へ、耳からロヘ

第2章 賢媼の昔語り−口から耳へ、耳からロヘ−
 通時伝承の昔語り(世の中始まっとうからの昔/きゅうり姫ご/屁っぴり爺/どや昔/す ずめすずめ/長ぇ名前/安達ヶ原の鬼婆んばぁ/だんごだんごの昔/後家かか昔−糠福米福/遠野の国の遠三郎/後家かか昔−梅代花代/四枚のお札/ポットサケタ/出雲の国の藤三郎/佐渡の狐/羽黒山の天狗)
共時伝承の昔語り(まめ爺とへやみ爺/子犬を助けたお爺さん/長い名前/蛇にもらった宝生の玉)
うたむかし他(うたむかし/長念仏の由来/嫁の数え唄)

第3章 語り手 土田賢媼−語り手と聞き手と−
語り手と聞き手、響き合う語りのリズム
「笠地蔵」談義
語り手における昔話の変容−土田賢媼の「どや昔」の場合−


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