霜月神楽の祝祭学

井上 隆弘著
(民俗芸能学会会員/1947年生まれ)

2004年11月刊 
ISBN4-87294-347-3
A5判・406頁・上製本・カバー装

8400円
評者:久保田道裕(『民俗芸能研究』57  pp29-42  2014.09)
天竜川に沿って、愛知・長野・静岡三県が境を接する、いわゆる三信遠地域は、霜月神楽と呼ばれる湯立を特徴とする神楽が広く分布することで知られる。
「本書は、花祭の舞の分析を中心とした「第1部 舞の宇宙」と、霜月祭の儀礼の解明を中心とした「第2部 祭儀の森」の二部構成とした。
第1部のポイントは、花祭が「青少年の祭」として立ち上がるうえで決定的に重要な意味をもつ、舞の造形という問題に解答を与えたということである。
第2部のポイントは、祭儀の構造を読み解いていくことにより、浄土神楽としての霜月祭の原像に照明をあてたことである。」(本書「序章」より)
【主要目次】
  
序章
第1部 舞の宇宙
第1章 花祭の舞の形態
地固めの舞−舞の基礎構造/ゆばやしへの展開/三つ舞、四つ舞への展開
第2章 神楽における神下ろしの舞
中国地方における神がかりの舞/花祭における神下ろしの舞/神下ろしの舞の諸相
第3章 花祭の舞と椎葉神楽の舞
花祭の舞の形態と意味/椎葉神楽の形態/「地固め」と結界作法/花祭の舞の形式
第4章 花祭の鬼
山を見、山を割る鬼−山見鬼の造像/大地を踏む鬼−榊鬼の反閇の生成
第2部 祭儀の森
第5章 「神子入り」と祭祀の構造−長野県天龍村坂部を中心として−
九月の祭の構造/霜月祭の構造/祭祀者の諸相
第6章 湯立・穀霊・死霊鎮め−二つの「玉取り」−
霜月神楽における湯立/霜月神楽における新穀儀礼/新穀祭儀と聖なる交換関係/浄土神楽としての霜月祭
第7章 霜月神楽における破邪の舞
北遠の霜月祭の舞/南信の霜月祭の舞
補論 花祭における破邪の舞−「金山之祭文」と舞−
終章  神楽研究の地平−岩田勝著『神楽源流考』の方法をめぐって−
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