御影史学研究会歴史学叢書B
霊験寺院と神仏習合
―古代寺院の中世的展開―


八田 達男著
(御影史学研究会会員/1965年生まれ)

2003年12月刊 
ISBN4-87294-301-5
A5判・340頁・上製本・函入

7900円
「本書は、仏教の諸尊、あるいは仏教と日本古来の宗教の交渉によって日本独自の展開をみせた仏教的な神ともいえる諸神に対する信仰に視点の中心を置いて、古代寺院の中世への展開を考えた論攷を主に構成したものである。…時代の転換期ともいうべき時期を機に、寺院がどのような変容や展開をみせたかということが、大きな関心事として本書を貫いている。」(本書より)
【主要目次】
 
第1章 古代寺院の展開と霊験寺院化―観音霊場を中心に―
第1節 長谷寺十一面観音像の像容
(方形台座に立つこと/錫杖を持つこと/両脇侍像)
第2節 伊勢近長谷寺と長谷観音信仰
(近長谷寺資財帳/巨大な十一面観音像/近長谷寺  創建の背景と飯高氏/近長谷寺の名のもつ意味)
第3節 不空羂索観音信仰の特性―興福寺南円堂を中心に
(奈良時代の不空羂索観音/藤原氏と南円堂/平安期以降の不振/春日明神の本地仏/霊験寺院としての南円堂)
第4節 架橋と造仏―主に泉橋をめぐる事項
(泉橋の歴史/平安期以降における造仏−観音・地蔵/鎌倉期における造仏−地蔵・文殊)
第5節 蟹満寺の観音霊場化と釈迦如来像の来歴
(蟹満寺の所在地「綺田」/蟹満寺の縁起/観音菩薩像/本尊釈迦如来像の来歴/蟹満寺の創立/蟹満寺のその後の歴史)
付論 興福院創建期の本尊と薬師寺講堂薬師三尊像―古代寺院の展開と古代金銅仏の来歴
第2章 信仰史上における中世への展開と神仏習合
第1節 蔵王権現信仰の伝播
(金峯山における蔵王権現の位置と性格/蔵王権現の本地仏を介した伝播/平安期・鎌倉期における伝播とその性格)
第2節 牛頭天王信仰の初期段階における展開
(京都祇園社の牛頭天王創祀/広峯社からの勧請説/その他からの勧請説/初期段階の遺跡/祇園社系牛頭天王信仰の伝播)
補論 京都府山城町松尾神社牛頭天王像の伝来に関する史料―「松尾大明神遷宮記録写」
第3節 狛弁才天に対する信仰―中近世の福神信仰とその霊場に関する一例
(草創伝承と宗教的背景/中世南都における信仰/狛氏と狛弁財天信仰/近世における信仰)
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