烏伝神道の基礎的研究


末永 恵子 著
(福島県立医科大学講師/1965年生まれ)

2001年3月刊
A5判・230頁・上製本・函入り
ISBN4-87294-196-9
6000円

本書は、幕末期に賀茂規清(1798-861)によって創唱された烏伝(うでん)神道の思想的特質と、その思想の同時代及び後世における受容について明らかにする。賀茂規清は、天保・弘化年間に江戸で神道講釈を行い、民衆に爆発的な人気を得たと言われているが、その布教活動は幕府の忌憚に触れる所となり、弘化4年八丈島流刑に処せられ、その地で生涯を閉じた。彼は「異端の神道家」とされたが、その思想の研究は、決定的に立ち遅れている。
【主要目次】 
序章  (課題と方法/賀茂規清の事績)
第1編  烏伝神道の思想
第1章 烏伝神道の『日本書紀』神代巻解釈(賀茂規清の神代巻解釈/「万人ノ系図」/「帝王ノ系図」/「羽明玉ノ御祖王」像の形成過程/神代巻解釈の基盤)
第2章 烏伝神道のコスモロジー(天と身体のアナロジー/天と心のアナロジー/コスモロジーをめぐる諸言説)
第3章 烏伝神道と民俗信仰(賀茂規清における民俗的世界の理解と再編の論理/「感」のコスモロジーと「心」の哲学)
第4章 烏伝神道の死生観(転回前の世界観と死生観/転回後の世界観と死生観/教説の転回の背景)
第5章 烏伝神道の国家祭祀構想(天保14年における国家祭祀構想/弘化4年における国家祭祀構想)
補論 幕末の宗教裁判における正統と異端(規清説の位置/賀茂規清の「罪状」)
第2編 烏伝神道の受容
第1章 烏伝神道と大関増業(烏伝神道の受容/烏伝神道受容の基盤)
第2章 烏伝神道と神習教(明治6年段階における規清説の受容/明治16年段階における神道説の受容と変容)
第3章 烏伝神道と菅野八郎(菅野八郎の明治政府批判/菅野における規清説の受容)

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