近代史研究叢書1
町場の近代史



松本 四郎 著
(都留文科大学名誉教授/1932年生まれ)

2001年01月刊
A5判・284頁・上製本・函入
ISBN4-87294-190-X
5900円

 地域のなかで町場はどんな役割を果たしていたのか?。町場の商工業は万屋(よろずや)の荒物屋や米屋などと専門店の特産品営業者に大別されるが、地域外からの人口流入とあいまって、外部との接点で、窓口になっていた。財閥資本が地域に進出してきても町場はそれと結びつかず、独自に馬車鉄の会社や電燈会社を設立して発展していった。会社の株主や主な役員は町場の商工業者で、その多くは町会議員でもあった。町ぐるみで明治後期に株式会社を設立しているのである。
 当初は国家の事務を消化するのに精一杯だった町村が、伝染病や校舎問題を契機に次第に住民の期待にこたえる存在に変質していったが、そのなかで町場の自治体が何をどこまで作り出したのかを、農村部と対比しながら、本書で考察している。他方、地域にこだわる農村部の拠り所は学校の存在であった。そこで本書では、大正期の学校をめぐる地域の人々や教師たちの動きにもふれている。


 

はじめに ―歴史学と地域―

第1章 明治前期の家族と村落
     ―山梨県南都留郡宝村の「家別帳」を検討して―

第2章 地域のなかの町場と商工業者
     ―明治後期の山梨県南都留郡谷村町を中心に―

第3章 財閥資本と地域社会
     ―三菱宝鉱山の経営分析をふまえて―

第4章 町場にできた株式会社と経営者たち
     ―富士馬車鉄道・谷村電燈・谷村商業銀行などと谷村町―

第5章 地域の課題と町村財政
     ―町場と農村部での町村財政変容の推移―

第6章 学校と地域社会
     ―尾県学校の沿革を中心に―


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