中世遊行聖の図像学

砂川 博 著
(相愛大学教授)

1999年5月刊
A5判・512頁・上製本・函入
ISBN4-87294-147-0
11800円
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金井清光氏「序」より … 近年、歴史学の領域から『一遍聖絵』に関する多くの発言があった。砂川博氏は国文学畑の出身であり、歴史学者とは異なる発想で『一遍聖絵』に鋭いメスを入れ、さらに『一遍上人絵詞伝』についても独自の斬新な見解を打ち出している。砂川氏専門の軍記物語研究で鍛えぬいた鋭い頭脳と深い読解力は、中世遊行聖の図像学に驚嘆すべき新プリズムを創出し、学問研究の面白さと楽しさを満喫させてくれる。


【主要目次】

第1章  『一遍聖絵』の論点−研究史を辿る−
  一遍の父親/太宰府修行/再出家の理由/善光寺参詣/十一不二の頌/菅生の岩屋/伊予出立/聖戒/賦算/熊野参詣/熊野神託/福岡の市/踊り念仏/尾張甚目寺施行/「非人」/市屋道場/「癩者」入水/「一の人」/法眼円伊
   
第2章 『一遍聖絵』の謎を解く
  太宰府へ/描かれざる聖達/騎馬武者の一団/桜井の別離/福岡市/市屋道場
   
第3章 『一遍聖絵』の隠喩<メタファー>−一遍の心象風景の「桜」−
   
第4章 『一遍聖絵』と『一遍上人絵詞伝』−熊野神託・律僧と時衆−
   
第5章 『一遍上人絵詞伝』における『一遍聖絵』の受容
  一遍の発心と熊野神託/九州遊行/他阿弥陀仏の随行と備前遊行/信濃遊行/陸奥遊行/鎌倉・駿河遊行/尾張甚目寺施行/関寺宗論/洛中化益/「北国」遊行の削除/四天王寺参詣/畿内・山陽道遊行の削除/三島大明神参詣/讃岐・阿波・淡路遊行と入滅まで
   
第6章 他阿弥陀仏真教の丹生山入山・淡路逗留・越前遊行−その宗教的意義について−
   
第7章 『奉納縁起記』考
   
第8章 『明徳記』の成立と時衆−和田英道氏『明徳記 校本と基礎的研究』に触れて−
   
第9章 『鎌倉殿物語』と念仏比丘尼
   
『老松堂日本行録』に見る時宗/書評『中世遊行聖と文学』『河田光夫著作集』


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