文字マンダラの世界
―日蓮の宗教―


渡辺喜勝著

(東北大学医療技術短期大学部教授)

1999年2月刊
A5判・302頁・上製本・函入
ISBN4-87294-133-0
6900円
書評再録へ

「本書は、日蓮の信仰と宗教を、その「本尊」である「大曼陀羅」(本書ではこれを「文字マンダラ」と称する)を中心にして考察したものである。…
ここでの最たる関心はその信仰論、とりわけ救済論にある。すなわち、言い古された「法華経専修主義」の日蓮の信仰において、『法華経』と人間がどのように位置づけられ、かつそれらがどのように関連づけられたかを探ることで、救済の構造とその特色を考察したい。そしてそれを核にして、日蓮の宗教をできるだけ総体として把握してみたい。
日蓮は、長い救法生活の終局に遂に『法華経』への〈回心〉を果たすことになるが、その後、ほぼ十年でその信仰体験を「文字マンダラ」に凝縮し、それを「本尊」の象徴として表出することになった。そして日蓮はそれを門弟や信者たちに授与したことから、マンダラは日蓮と彼らとの信仰交流の証書となり、あるいは救いの象徴としての「仏国土」を示すものとなった。したがってその一幅一幅のマンダラは、その意味で日蓮の信仰と宗教の総体と言える。…
こうして七百年に亘って連綿と信奉されてきた巨大な宗教体系=日蓮宗の、いわばその源像を探ろうとするものである。」
(本書「序章」より)


【主要目次】

第1章 文字マンダラの成立と形態

第2章 文字マンダラの成立根拠(1)=日蓮の菩薩意識

第3章 文字マンダラの成立根拠(2)=日蓮の文字観

第4章 仏国土・文字マンダラの世界=日蓮の自然観

第5章 文字マンダラのイコノロジー

第6章 文字マンダラのシンボリズム

第7章 マンダラ界の住人たち(1)=女人成仏論

第8章 マンダラ界の住人たち(2)=予言者・日蓮

後 記 結語にかえて



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