NoX-30  2003年9月

追悼:栗田治美さん

 文献出版の栗田治美さんが、去る8月18日、ガンのため亡くなりました。享年70歳。文献出版は1974年の創立、日本史の史料集や地域史の論文集を、奥さんと二人で出版してきました。今年の初めに、ガンで余命6か月と宣告され、体力がかなり落ちてきてからも、春の学会に本を売りに行ってました。それが、みなさんへの最後の挨拶のつもりだったというのが、はたで見ていた私にも、よく判りました。
 他社のことをここまで書いていいのかどうか…。実は文献出版には借金があります。栗田さんは、残される家族のことを思って、会社を整理するつもりだったようですが、その途中で命が尽きてしまいました。しかし、お嬢さん(美子さん)が、あとを継いで再出発することになりました。正直いって状況は、岩田書院よりかなり厳しい。ただ救いは、文献出版の売上げを生活費にあてる必要がないことです。栗田さんの奥さんは年金が入るし、お嬢さんの家の生活費は旦那が稼いでくるし、文献出版が赤字を再生産しなければ、なんとかなるのです(もっとも、それだけでは借金が返済できない)。やはり、専門書の出版だけでは、企業として成り立たないのだろうか…。
 なお文献出版では、再出発と創立30周年を記念して、来年1月末まで、3割引きセールをおこなっています。詳細は文献出版にお問合せください(〒112-0014東京都文京区関口1-29-6 TEL/FAX 03-3207-0086 URL http://bunken.main.jp)。
 これを見て気がつかれただろうか…。文献出版は、いままで FAXさえなかった会社です。それが一気にホームページまで立ち上げました。新生「文献出版」にエールを送ります。でも、あまり力まないようにね、肩の力を抜いて…、先は長いんだから。


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