No.805(2013.05)

【○○さんへの手紙(5)】

 まだ○○さんに答えてないことがありますね。ケアレスミスが多すぎると。指摘を受けた本を出した2004年は46点の新刊を出しています。当時の私の年齢は55。昨年2012年の新刊点数58点。年齢は63。今からみれば、まだまだ余裕があってもいい時期です ね。
 実際問題として、1か月に1人で4点以上の新刊を出すというのはどういうことか。原稿や校正ゲラを自分でじっくり読むなんて、出来ないです。校正は、校正をしてくれる人に依頼してます。その人がそれだけやって、1回の校正に1週間から2週間かかる仕事です。私がそれをやってたら、月に4冊も出せないですよね。だから自分では「読まない」。ではどうするか。「見る」、です。
 何が問題か、何か問題があるか、問題があればどうするか。それで精一杯です。
 岩田書院が依頼している校正スタッフも、いま世代交代の時期にきています。その編集スタッフの能力の問題もあるかも知れませんが、その責任は、やはり私にあるのは承知しています。でも、出来ないことは出来ない、んですよね。
 だったら、この仕事をやめればいいんでしょうか。
 長い手紙も、そろそろ終わりにします。
 いいわけ、開き直りに聞こえたでしょうね。自慢話になってるかも(そうだとすると、かなり嫌みですね)。でも、「これから、こういったことのないようにいたします」というような「いいかげん」なことは言えないんですよね。私の年齢的なこともあるし、これからますます、こういったことが起きそうです。でも「そんな会社でもいいよ、そんな程度でいいから(とは言ってないか…)、もうしばらく続けてね」という、ありがたい言葉をかけてくれる人も多いのです。
 いまは、その気持ちに甘えて、もうしばらく続けます。こんな岩田書院でよければ、いましばらくお付き合いください。