No.800(2013.05)

【○○さんへの手紙(1)】

 4月某日、東京都在住の方から、以下のような お手紙をいただいた。
 「…最近図書館で借覧した貴社御出版の本の、あまりの誤植の多さに驚き、お手紙差し上げます。ふつうに読んだだけで気づいた <音引き・ダーシ> の誤植が5例、これは多すぎます。変換ミス、ルビのミス、かなりの入力ミスも目につきました。校正をせずに出版なさったのでしょうか。直接引用の場合不可欠のはずの原文との照合をしていらっしゃらないと考えざるを得ない状態です。…このような状態で出版するのは、原文の執筆者に対して失礼ですし、著者の信用を傷つけることにもなります。気づいた範囲の指摘をし、資料も同封しました。…(同書は)2004年の出版、2011年出版の『○○の○○○』のはじめの方も拝見したのですが、やはり 単純な誤植が多く、「2004年の後、改善しました。現在ではこのようなことはありません」とは、おっしゃるわけにはいかないでしょう。…お忙しいこととは存じますが、これを「言いがかりだ。放っておけばよい」ですませた場合、出版人として、まっとうといえるでしょうか。…一字一字、一語一語をたいせつにするお仕事のつみかさねによる、ますますの御隆昌をお祈りいたします。」
 手書き便箋5枚、引用部分は全体の約半分だろうか。これに、文中にある資料コピーと、回答を求めた返信用の封筒が添えられている。
 「ぐうの音(ね)も出ない」というのは、こういうことを言うのだろうか。まさに、おっしゃる通りです。これって、出版社の力量を正直にあらわしているんですよね。で、なんと答えるべきか…。ここは、回答を公開して、お詫びの気持ちと、それでも「これしか出来ない」、という開き直り?の気持ちを伝えることしかないか…。(以下、次号)