No.763(2012.08)

【だれも買わない】

 以前この「裏だより」で、執筆者が買わなくて誰が買うのよ、と書いたことがある→【売れると思ってる?】。今回『都市民俗基本論文集』全4巻の完結にあたって、執筆者に割引販売の案内を出した。このシリーズは、既発表論文を再録したものなので、執筆者には再録巻を1冊献本するだけでご了解いただいている。ということは、再録された巻以外の巻は、持っていない、ということになる。
 そこで、完結を機に、他の巻を買ってくれませんか、という案内を全執筆者に出したのだが、なんと注文はナシ。本当に 誰からも注文が来ない。1冊18800円+税だが、執筆者割引で3割引。執筆者は、その分野の研究者であるはずなんだが、それでも「0」である。
 う〜ん。こういう著者を相手に、本を作って、売っていかなくてはならないのか…。
 あ、いかん いかん。最近、すぐ毒づくようになってきたな。
 でも考えてみたら、執筆者のなかには、企画から完結までのあいだに、何人か亡くなった方もいたくらいだから、期待するほうが、そもそも いけないのか?。
 出版の基本は、やはり自分で買いたいと思うような本を作る、ということですね。それは、出版社(編集者)はもちろん、著者にも問われていることです。自分が出版した本(書いた本)を 買いたいと思ってくれるか?。1000人とは言わない、300人でいい。その顔が見えるか?。見えない?、じゃ、やめようか…。