No.757(2012.06)

【校正の直し】

 原稿から本になるまでに、校正を何回かする。以前は、手書き原稿の時代も含めて、著者校正は再校までで、だいたい手が離れて、あとは出版社で確認すればいいくらいだった。ところが最近は、なかなかそうもいかない。3校で終わればいいほうで、5校・6校になってもまだ終わらない。
 初校で、ゲラを真っ赤にする輩(やから)もいる。自分の原稿に責任もてよな。
 印刷所の組版単価は、基本的には1文字○円という計算になっている。これには、当然、原稿が入ってから校了(校正完了)までに、何回かの訂正が入ることは織り込み済みになっている。しかし、それも限度ってもんがあるでしょう。
 手書き原稿の時代は、まず、原稿どおりに組んであるかということが重要だったが、著者が作ったデータをもとにして組むようになった現在は、それは問題にならない。体裁的に指定通りに組んでいなければ、それは印刷所の責任だが、語句の直しは、著者・出版社の責任である。
 それにしても、印刷所の現場は、よく我慢して、きっちりと直してくる。最近は出版社の社内で組版と修正をするところが多くなっているが、出版社の人間って、そういうように(ひたすら直す、ということに)訓練されてないから、あまり赤字が多いと、きれてしまうんではないだろうか。私なんか、印刷所が 文句も言わずに(言ってるんだろうなあ)直してくれるから いいけど、これを自分で直せと言われたら、そうとう、むかつく(いや、きっと毒づく)。