No.717(2011.12)

【本の厚さとページ数の関係】

 常識的には、ページ数が多いと本は厚くなる。しかし、そうではない場合がある。なぜか、答えは単純。紙の厚さが違うから。
 同じ紙の銘柄なら、紙の重さ(1000枚あたりのKg)に比例して厚さが増減する。岩田書院では、本文用紙はクリーム系の書籍用紙を使用しているが、この紙は、A判の46.5Kg(紙厚0.102mm)の上のクラスが57.5Kg(0.126mm)になってしまって、その中間がない。
 具体的な例で見てみよう。
A「経塚考古学論攷」      330頁 7900円 (46.5Kg)17.0mm
B「戦国大名武田氏と甲斐の中世」264頁 5900円 (57.5Kg)16.5cm
C「戦国大名武田氏の役と家臣」 320頁 6900円 (46.5Kg)16.5mm/(57.5Kg)20.0mm
 ABを出した後にCを出す段になって、悩んだ。薄い紙だと、Cのほうが定価が高いのに、Bと束(厚さ)が同じになる。厚い紙だと、Cのほうが束が厚いのに、Aより定価が1000円安いことになる。言ってる意味、判ります?。
 結局、Cを厚い紙にした。理由は、BCが同じ武田氏関係の本だから。頁の多いほうが束が厚くて定価が高い、という関係を尊重した。頁が多くて定価が高いのに束が薄いのって、なんか、おかしいんじゃないの、という感覚を持たれたくなかったから。
 違う言い方をすると、ページ数が少ない場合、背幅を厚く見せるためには、紙を厚くすればいい、ということなんです。因みに、紙代は、同じ銘柄なら重さに比例して高くなるが、部数が少ないと使用枚数が少ないので、あまり影響はない。