No.401(2005.09)

落日の民俗学

 この言葉は、『フォークロア』第7号(終刊号)に、山折哲雄氏が寄せた論文のタイトルに由来する(1995年)。それから10年、この業界で商売をしてきた者にとって、現実味をもった問題になってきた。本が売れないのである。民俗系がことにひどい。
 どれほど売れないか。8月末在庫360部/製作部数500部(以下同)、360/500、230/400、260/400、240/400、220/400、280/400、240/350、220/350、260/400。
 これは昨2004年に刊行した本の実績である(念のために言っておくが、数字は在庫数である)。定価は8900円〜14800円。刊行後 10か月以上は経過している。実売200部に届かない。ということは 図書館や研究機関からの注文もあるので、個人の注文は100人もいない、ということか?。いったい何時からこんな状態になったんだ?。
 図書館の予算や、大学の先生の個人研究費が削られているのが、影響しているのだろう。日本史系の本の落ち込みは、これほどひどくはない。もともと日本史に較べて研究者人口(購買力)が少ないのだから、仕方がないのか。それにしても…。
 このDMが届くころ、日本民俗学会の大会が東大で開かれているはずである。今年は日本史研究会の大会が同じ日に京都女子大で開かれる。大会での本の売上げは、日本史研究会のほうが多いはずだが、私は民俗学会にでることにする。そこでしっかりと見極めてこようか…。本当に「落日」かどうかを。