No.No.X-6  2001年8月

【大学院生は本を買う?買わない? 】

具体的なデータは判らないが、最近、大学院生の数が増えていることは確かだ。彼らは基本的には、研究者をめざしているのだと思う。そうであるはずなのに、彼らは本を買わない。学部の学生さんには、正直いって、あまり期待していない。7000円も8000円もする本を買えとは、言えない。わが身を振りかえっても、学生時代に、そんな高い本は、めったに買わなかった。
 でも、あんたたちゃあ、研究者をめざしてるんだろうが…、そのためには、いま自分に投資しておかなくていつするんだ?。20歳代後半から30歳代にかけてが、一生のうちで一番勉強をする時期じゃないのか?。この時期に、どれだけ史料を読み、どれだけ論文を読み、どれだけフィールドを歩けるか、これがその後の研究者生命を決定づけるんじゃないのか?。
 今年の春に東京・青山学院大学で開催された歴史学研究会には、出版社50社近くが店をならべ会員に割引き販売をしたが、そこでは、みんなよく買ってくれた。お金がないんだろう、若いもんが、何度も岩田書院のところにきて、本を手にとっては置いていく。欲しくて仕方がないのが傍目にもよくわかる。そういう姿をみると、思わず本をあげたくなってしまうが、そこを、ぐっとこらえた。
 そう、こういう若者がいるうちは、まだ商売をやっていける、という気持ちになってくる。頑張れぇ〜。しっかり勉強して、本が買えるようになろうね。