No273  2003年4月

学会と出版社との微妙な関係(1)

 学術団体が機関誌や論文集を発行する場合、その販売にあたって出版社との関わりができるが、その距離のとりかたが「微妙」である。論文集などは、その企画ごとに出版社との契約になるので、ここでは機関誌について見てみよう。
 その前に、学会事務局の場所であるが、かつては、出版社の中にある場合も多かったが、出版社も 事務局のスペースを提供できるだけの余裕がなくなり(それだけのメリットを感じなくなり)、いまは少なくなった。
 機関誌の制作費については、会の予算で作るのが原則だが、会員数が少なくて予算内では機関誌が作れない場合はどうするか。ひとつは簡単である。機関誌を作らないで会報・通信程度のものにして、適宜、論文集を作るようにすればいい。岩田書院の例でいうと、巡礼研究会の「巡礼論集」や、柳田国男研究会の「柳田国男研究年報」が、それである。しかし、予算がないのに作りたい場合は、出版社の協力が必要になってくる。
 機関誌を会員外に販売するには、出版社が発売元になる。その発売元も変更する場合が結構ある。古くは、『歴史学研究』は岩波書店から青木書店に、『地方史研究』は小宮山書店から名著出版に代わったし、岩田書院の例でも、現在取扱っている雑誌のいくつかは名著出版からの引継ぎである。その条件もいろいろだろうが、小社の場合は、小社が会から50%の価格で必要部数を仕入れて、それを67%で取次店・書店に卸す、というやり方である。今年に入ってからも取扱いの雑誌が4誌増えて、現在27誌になった。


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