No266  2002年12月

「遺言」です

 以前この裏だより(No169)で「シミュレーション「岩田博、倒れる」」を書いたが、最近、私のまわりに、職場で脳梗塞で倒れた人とか、49歳で急逝した人とかがあって、いよいよ「遺言」を書いておこう、という気になった。なにしろ、岩田書院は私1人なので、この事務所で倒れたとしても、発見が遅れるのです。出掛けていることも多いので、普段、電話は留守電になっているし、ここでヒクヒクしていても、だれも気がついてくれないのです。翌朝になっても私が家に帰った気配がないと、初めて「おかしい」と思うので、多分その時は手遅れでしょう。
 そんなわけで、気分が新たな時に(?)、公開遺言状を…。まず、@現在進行中の企画と、出版することに決まっている企画は、なんとか出して欲しい。Aそれが終わったら、あとは新刊を出さずに活動を停止して、在庫だけは流通するようにして欲しい。B新刊を出さないと売上は激減するだろうから、会社を維持する経費が売上を超えるようになって、恒常的な赤字状態になったら、岩田書院をたたんで欲しい。もちろん、残された者に続ける意思があれば、それはそれで構わないが、無理して続ける必要はない。
 当面は、生命保険もおりるし、在庫の売上もそこそこあるだろうから、なんとかなるだろう。そのあとは、悪いけど、なんとかしてくれるかなあ…。
 所詮、出版社は一代限りである。畝傍書房・大岡山書店・岡書院…、いい本を出した戦前の出版社は、みんな、もう、ない。岩田書院もそれでいい、と思っています。こうして、順繰りに次ぎの出版社にバトンタッチしていけばいいのです。


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