【「版」と「刷」の違い】 |
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この業界では、「版」は組版を替えた場合、「刷」は版はそのままで刷り増し(増刷)する場合、という区別をしている。国語辞典などで「第〇版」などという場合は、収録項目の見直しをしたり、記述を改めたりして、旧版の組版を利用しつつも、組み直しているから、「版」が新しくなる(それに対して
組版をそのまま利用して装丁だけ変える場合は「新装版」になる)。したがって、小社が最近出版した『芸能史年表』『信長権力と朝廷』は、第3版、第2版、という表現にしている。
ところが、この区別を勘違い(?)している大手出版社がある。中央公論新社である。中公新書の奥付は、増刷にもかかわらず「第〇版」という表記だし、新聞広告も、売れていることを示すのに、「好評第〇版」と書いている。なんとかしてほしい。
なお、本にする過程は一般的に、組版→刷版→印刷→製本、となっているので、上記の「版」「刷」の違いがよく判る。ただ、まぎらわしいのは、「版」と「刷」の間に「刷版」という工程があることである。「刷版」とは、まさに刷るための版である。
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