No.211  2001年8月

【専門書出版社の成功の秘訣 】

 というタイトルの記事が『出版ニュース』2001年6月下旬号に掲載されている。執筆者は長沢立子氏。日本の話しではない。アメリカの社会科学系の専門書出版社セイジ社の事例である。それを読むと、岩田書院の場合とほとんど同じである。
 創立者のサラ・ミラー氏は、「その内容の集中度が高いこと、また市場のサイズが限られているため、読者の獲得が比較的容易であるという特長をあげている。マーケティングも効率がいいし、ダイレクト・メイリングなども、短期間、低コストですみ、その割に良い結果が得られる。書籍の値引き販売ということも少ないし、直接販売も効率良く行うことが出来ると、専門書出版の特長を強調する」。
 そして 雑誌(定期刊行物)の売上が50%以上をしめるとして、「雑誌の記事の筆者である研究者や教授たちとは常に連絡を保っておかなくてはならない。反対に、筆者が他の筆者や購読者である学生たちを推薦してくれることも多い。こういう環境の中で、セイジ出版社は有機的に発展していったといえるだろう」と書かれている。
 岩田書院は、自前で雑誌をもつことはできないので、研究会が発行している雑誌の発売窓口になることによって、上記の役割を果たそうとしている。そして取扱雑誌の数は19タイトルになった。(この項つづく)