No.205  2001年5月

【著者と編集者 】

 岩田書院の本は、日本史・民俗学系の専門書が中心である。したがって著者は、基本的には大学の先生で、博物館の学芸員や高校の先生も多い。創立当初は、私がそれまで勤めていた名著出版のときからお世話になっていた先生方が多かったが、最近は、創立後におつきあいいただいた著者のほうが多くなってきた。そして、女性の著者も増えてきた。これは、うれしい。また、著者の年齢も私より若い世代が増えてきた。
 編集者の年齢というのは結構重要な要素である。若いうちは、自分より年上の著者の本を担当しつつ、同世代の著者予備軍ともいえる世代とワイワイやりながら付き合っている。それが、自分が中堅になるってくると、同世代の著者が育ってくる。さらに年をとってくると、自分より年上の著者と、同世代の著者と、年下の著者がいる、という状態になってくる(ちょうど 今の私がその時期になっているのだと思う)。さらに年をとってくると、自分と同世代以下の著者ばかりになる。
 ある程度の規模の出版社では編集者が複数いて、この世代がバランス良く配置されているのだろうが、岩田書院では、そうはいかない。自分では若いつもりでも、若い著者にとっては、りっぱなオジサンだし、社長サンでもある。あと10年たっても、若い著者にとって魅力ある出版社でありつづけられるだろうか…。そうでないと、読者からも、魅力ある出版社とは認めてもらえないだろう。