No.183  2000年9月

【初心に帰って(3) 】

 「出版社事始め−1人だから専門書をB」 (『出版ニュース』1993年9月上旬号より)
 出版不況のおかげで(?)、せっかくいい本なのに、中堅の出版社が出版してくれない、という話をよく耳にします。そういう時こそ岩田書院の持ち味を発揮する時だと思っているのです。いい本は売れる、これは理想かもしれませんが、真実でもあると思っています。「売れる」という時の 部数の基準が違うだけです。これだけ学問的に内容が細分化してきて、本もたくさんでていて、コピーも安くとれるという時代に、専門書が1000部も2000部も売れるわけがない。500〜700部確実に売れればいいのです。そうすれば、再生産費がでてきて、次の本が作れます。1点の本で何百万円も儲かるわけがない、もとをとるのが精一杯、それもかなり時間がかかる。となると年間数冊程度の出版点数では、とても食べていけないことになります。しかも売れ足が遅いから、品切れになったとしても、すぐ増刷もできない。となると、常に新刊を作り続けていかなければならないことになります[まさに その通りの展開になっています]。そのためには、お金と時間が必要です。それがあれば楽なんだが…。