No.96 1997年10月
【顧客名簿は出版社の財産です】
 前号で、『歴史手帖』(名著出版刊)の購読者のかなりの程度を小社でも把握できていると思っていた、と書いたが、それは次のような理由による。
 私は、岩田書院をはじめる前、20数年間、名著出版にいた。したがって小社のコアになる部分は、基本的には名著出版時代からお世話になっていた方々である。これに日本史研究会・地方史研究協議会・日本民俗学会の会員名簿を加えたものが、小社のDM名簿の基本になっている。
 各出版社とも同じだと思うが、DM名簿を作ろうとすれば、関連する学会名簿を基本にして、それに、愛読者カードや、パンフレット請求、直接注文などによって判った読者を顧客名簿に登録していって、その数をふやしてゆくことになる。そうであれば、名著出版のもっている顧客名簿と、岩田書院のつくった顧客名簿は基本的なところでは同じだろう、と思っていたのである。
 しかし『地方史情報』をだしてみて、名著出版と岩田書院の顧客名簿に、かなりの違いがあることが判った。それは、名著出版に継続して雑誌を寄贈していた研究団体が、『地方史情報』の創刊を知らなかったということからも理解できる。
 学会や研究会に所属していなくて、しかも小社の出版物に関心をもってくれる人。このような読者をいかに把握していくかが重要になってくる。そのためには『地方史情報』の“見本誌謹呈”というのは、とても有効な手段になってくる。見本誌を請求してくれた方は、岩田書院の本を買ってくれそうな方なのです。
 『地方史情報』は、その意味でも、出す価値があるのです。

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