No.71 1997年2月
【『歴史手帖』の休刊は“休刊”なのだろうか】
 裏だよりNo69でふれたように、名著出版の『月刊歴史手帖』が休刊になった。この業界では、ふつう「休刊」というと、「終刊」という意味である。それをうけて岩田書院で新雑誌を創刊しようと考え、それなりの準備を始めたのだが、終刊号となるべき号(25巻2号97.2)の巻頭の名著出版のあいさつを読むと、「休刊」「再生」「復刊」を強調しているように読める。以下に、その箇所を引用してみよう。
 「…本号をもちましてしばらくの間休刊とさせていただきます。…小誌もより一層の内容充実を期し、「再生」を目指して充電期間をもたせていただくことにいたしました。まことに勝手で恐縮ではございますが、正鵠を射た企画に向け努力する所存でございますので、しばしご猶予を賜りたく存じる次第です。なお、できるだけ良い形で復刊できるようにしたいと思って検討しておりますので、「こんな形で出してほしい」という要望などございましたら、ご意見をどんどんお寄せいただければ幸甚に存じます。…またお会いできる日が一日も早く参りますよう、ご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」。さて、これを読んでどう判断するか。
 なお、私も最初は気が付かなかったが、この文章の中には、なぜ休刊にしたのかがひとことも書かれていない。たとえ書いてあったとしても「諸般の事情により」という程度で、本当の理由を書くはずもないか(岩田書院なら書いてしまうだろうが)。
 ちなみに、1995年3月に終刊になった『フォークロア』は、最後にひとこと、「謹告 『フォークロア』は当第七号をもって終了します。 本阿弥書店」。みもふたもない、と言ってしまえばそれまでだが、いいわけなしの終刊宣言である。
     
  *ある人から、「なにもここまで書かなくても…」と言われた。私、この時期、怒っていたのです。

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