著者名:竹谷靱負著『富士山の祭神論』 |
評 者: (岡田 博) |
掲載誌:「富士山遺文拾遺」8(2006.11) |
本書の著者竹谷靱負(たけや・ゆきえ)というお名前は、富士山北口、山梨県富士吉田市上吉田に、戦国時代から四百年続く富士山御師竹谷家の世襲名前です。
拓殖大学工学部情報工学科教授。理学博士・竹谷誠先生は、富士山御師竹谷家の長男の長子として誕生されましたが、お父上は誠先生の出生前出征、戦死、お母上の生家で育てられたとのことです。 富士山御師竹谷靱負の血は、工学博士竹谷誠先生の中に脈打ち、平成九年十二月九十歳でご逝去の富士講研究会主宰岩科小一郎先生の遺弟子たちが、 集まり計画した「富士山信仰研究会」の創立にご参加下さり、創立集会は平成十年五月十六日、竹谷先生の拓殖大学文京キャンパスで開かれたのでした。 前著『富士山の精心史』(青山社版、一九九八・九)に次いでの今回のご本は、近世中期に「木花開耶姫」に、そして明治維新の神仏分離で祭神一 体化される以前の、古代以来の富士山祭神の変化の歴史をたどり、その神仏の性格と祭られる過程について深い考察を以て編まれたご本です。 目録を並べますと 一、古伝の「富士山縁起」に基づく問題提起 二、不動明王と浅間大神 三、大日如来と浅間大菩薩 四、千眼大菩薩 五、赫夜姫(1)富士山仙女説 六、赫夜姫(2)赫夜姫は浅間大菩薩 七、富士講の元の父母仙元大菩薩 八、木花開耶姫命 −富士北麓伝来の赫夜姫− −林羅山と木花開耶姫命− そして「金色姫」「大照大神」と「女性神」の富士山を考えます。 |
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