桑田 和明著中世筑前国宗像氏と宗像社
掲載誌:地方史研究310(2004.8)
評者:浅倉 直美


 本書は、福岡県宗像郡に生まれ育った著者が、長年にわたって発表してきた宗像氏と宗像社についての論文をまとめたものである。『津屋崎町史』や『宗像市史』史料編中世Uなどの編纂・執筆に携わるなかから、地元に根づいた視点を大切にして、基本史料に基づいた着実な論考が展開されている。

 とくに、宗像氏発給文書についての詳細な分析と考察(第三編第三・四章)、江戸期の編纂物ではあっても戦国期の宗像氏と宗像社の研究に欠くことのできない「新撰宗像記考證」について検討(第三編第二章)をはじめとして、基本的な論考を中心に、宗像氏と宗像社の研究に不可欠な論文集である。それとともに、天正十五年(一五八七)豊臣秀吉の九州再国分における諸領主の個別検討(第四編第一・二章)など、中世から近世の九州地方の歴史を考察するうえでも、重要な論点を提示した一書である。構成は以下の通り。(以下省略)


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