鈴木一夫著『江戸の温泉三昧』

評者:(維)
「日本歴史」754(2011.3)

 そもそも本書は学術書として書かれたものではないとのこと。とはいえ、江戸時代の湯治という生活習慣、湯治の楽しみ、湯治場の風景や温泉施設の実状などを、紀行文その他の史料をもとに窺い知ることのできる充実した内容だ。現在の温泉文化の原型は江戸時代の湯治文化にあることを知ってもらい、温泉の将来についても新しい視野を持ってほしいというのが著者の意図。温泉文化に対する愛着だけでなく、現状への苦言もときどき顔をのぞかせている。


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