ヒトガミ信仰の系譜

佐藤 弘夫 著
(東北大学教授/1953年生まれ)

2012年9月刊
A5判・234頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-766-3 C3039
2800円 (税別)
前著『死者のゆくえ』(2008 岩田書院)のあとを受け、歴史上に実在した人間がカミになるという現象=「ヒトガミ」(人神)信仰の多様性を歴史的に明らかにし、近代の忠魂の思想にいたる道筋を示す。
「いうまでもなく、死はだれ一人避けることのできない人間としての宿命である。他方、カミは遠い過去から一貫して人に寄り添いつづけてきたパートナーだった。人文科学の目的が、「人間」というこの不可解な生物の本質を解き明かそうとするところにあるとすれば、もっとも深いレベルで人と関わってきたこの二つのテーマこそが、恰好の糸口となるのではないか。このような問題意識に立って、それらを抽象的な思弁のレベルで論ずるのではなく、私が一貫してフィールドにしてきた日本列島を題材として、具体的な資料に即して、歴史的な視点から解き明かしてみたいと思ったのである。
「「死」については、『死者のゆくえ』という本を出させていただいた。その後、集中的に「カミ」の問題を考えてきたが、その過程でこれが想像以上に難しいテーマであることを思い知らされることになった。本書は、カミを追いかけたこの四年ほどの、七転八倒した苦闘の成果である。」(本書「あとがき」より)
【主要目次】

序 章 人が神になること

第1章 天皇霊の誕生
      (カミとしての「天皇霊」/
      アキツカミの思想/
      神の棲む山)

第2章 死霊から神へ
      (神々の黎明/
      縄文のカミと弥生のカミ/
      記憶される霊魂)

第3章 前方後円墳に宿るもの
      (箸墓/
      巨大古墳はなぜ築かれたか/
      古墳の祭祀形態)

第4章 ヒトガミとモノノケのあいだ
      (跳梁する亡魂/
      御霊信仰の出現/
      古代のカミの特色)

第5章 彼岸へ導く神
      (遠ざかる浄土/
      聖人信仰と霊場/
      根源神を求めて)

第6章 立ち去らない死者
      (草木国土に宿る神/
      変身する人々/
      権社と実社)

第7章 東照大権現の思想
      (カミを奪いあう時代/
      神格化される家康/
      神を志向する権力者)

第8章 叢生する生き神
      (祀られる庶民たち/
      参詣から巡礼へ/
      民衆宗教の神観念)

終 章 靖国への道

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