修験道の室町文化

川崎 剛志 編
(就実大学教授/1962年生まれ)

2011年6月刊
A5判・252頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-696-3 C3021
5700円 (税別)
評者:日沖敦子氏(『山岳修験』49  2012.3)
「本書は、2008年12月、名古屋大学で開催された研究集会「室町時代における修験道の儀礼再興と文化興隆」の成果を中心にまとめたものである。報告者は、天野文雄氏、源健一郎氏、大河内智之氏、高岸輝氏、阿部美香氏と私(川崎)の6名であった。私どもの専攻分野が、国文学、芸能史、美術史に限られていたため、議論の方向が偏るのではないか危惧していたが、幸い、宗教学、歴史学の立場から修験道研究を牽引されてきた諸先学の参加をも得て、広い視野から熱のこもった議論を交わすことができた。(中略)
 ところで、本書の出発点は、2005年以降、和歌山県立博物館で開催された特別展「熊野速玉大社の名宝」「熊野・那智山の歴史と文化」「熊野本宮大社と熊野古道」及び「熊野三山の至宝」にある。深い郷土愛と高い学識を備えた学芸員の皆様が心血を注いだ、これらの特別展がなければ、本書は生まれなかったと言っても過言ではない。」(あとがきより)
【主要目次】 
室町前期における熊野三山再興と文化興隆 川崎 剛志
熊野速玉大社の古神宝関連資料に見る神仏習合
 −その仏教的意匠を手がかりに−
安永 拓世
『熊野詣日記』の制作圏
 −熊野参詣の儀礼と物語草子−
恋田 知子
本山派修験寺院と本座田楽
 −文安三年の住心院における田楽能興行をめぐって−
天野 文雄
熊野参詣儀礼の図像化
 −フリーア美術館蔵「熊野宮曼荼羅」をめぐって−
川崎 剛志
『平家物語』の諸本展開と寺門派修験
 −平家享受の場との交渉を視野に入れつつ−
源 健一郎
十五世紀の熊野における不動堂本尊の造像
 −本宮護摩堂と那智滝本山上不動堂−
大河内智之
「槻峯寺建立修行縁起絵巻」と修験のランドスケープ 高岸  輝
『箱根権現縁起絵巻』と後北条氏の修験文化 阿部 美香
修験における宗教テクストの輪郭
 −その縁起と図像をめぐる覚書−
阿部 泰郎

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