墓制の民俗学
−死者儀礼の近代−

前田 俊一郎 著
(文化庁文化財調査官/1967年生まれ)

2010年3月刊
A5判・406頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-597-3 C3039
9500円 (税別)
「本書は、日本の葬制・墓制、とくに後者の近代に着目しながら進めてきた墓制研究の成果をまとめたものである。近代という視座から墓制の変遷とその現在について再検討を試みることが本書の大きな目的であるが、埋葬や造墓という人々の行為が国家や法との関連で位置づけられた近代の文脈から、地域社会の墓制を再対象化することで、近代の過程において民俗がみせる自律性や地域社会の自立的な営みを抽出することができるのではないか、という目論見もある。また、墓制の現状をその変革期といわれる近代と相関させて考えることを通して、地域社会が今日直面している墓制の諸問題を浮き彫りにできるのではないか、という展望をもっている。」(本書「序章」より)
【主要目次】
序 章 研究の視点と本書の構成
第1章 国家政策と葬制・墓制
 第1節 動揺する葬制・墓制
 −近代行政史料の分析を通して−
 第2節 神葬祭になった村
 −明治初期の葬祭式の転回と地域社会−
 第3節 死者の共葬化と墓制慣行
 −明治期における共同墓地の問題−
第2章 両墓制と近代
 第1節 近代に成立した両墓制の問題
 −両墓制研究の再考−
 第2節 両墓制の分布小考
 −東日本の両墓制事例から−
第3章 社会集団と墓・先祖祭祀
 第1節 近代の墓制変化と同族祭祀の再編
 −祭祀集団化する同族と墓の機能−
 第2節 共同祭祀と同族結合
 −同族神の祠堂祭祀と先祖の墓祭祀の比較から−
第4章 近代以降の墓制の動態
 第1節 村の墓制の変遷
 −両墓制といわれた村の百年−
 第2節 墓制の重層的構造
 −近代以降の墓地形成と分散する死者たち−
終 章 本書のまとめと今後の研究に向けて

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