庄屋心得書 親子茶呑咄
岩田書院影印叢刊H

小泉 吉永 編
(法政大学講師/1959年生まれ)

2008年9月刊
A5判・376頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-528-7 C3321
8900円 (税別)
 但馬国の庄屋・西村次郎兵衛が、子孫のために安永8年(1779)に書き残した公私にわたる心得書『家風 親子茶呑咄』(編者所蔵)を影印で収録し、解説を付す。
 作者については、いまのところ、本書から判る範囲でしか判明しないが、代々庄屋職を継ぐ家に生まれ、若くして両親に先立たれ、幼少より辛酸を嘗めたようである。
 全体を26章に分かち、教訓書としてはかなり大部で、学者の説く観念的な教訓ではなく、実体験に裏打ちされた庄屋の知恵が凝縮されている。
 家や家業を存続させつつ、子々孫々まで一族が繁栄するための日頃の心懸けや、村政の責任者たる自覚と行動のあり方を、微に入り細を穿って書き尽くした「庄屋マニュアル」。
本書はまた「生活マニュアル」でもあり、西村家の生活を彷彿とさせる。なかでも、子どもの金銭教育や妾の問題など、学者の教育論にはまず見られない独自の主張も見え、子育て書としても異彩を放つ。
 解説は50ページにおよび、各章の要点を記し、重要な箇所は意訳を掲げ、内容の理解を助ける。
【主要目次】
(1)家業の恩を知る事
(2)田畑免切相対致す事
(3)我分限を知る事
(4)次男へ分地の事
(5)子供養育の事
(6)隠居致す事
(7)農家の商い害ある事
(8)頼母子の人数差し加わる心得の事
(9)金銀賃借・質物請判抔心得の事
(10)奉加・勧化等附く事
(11)倹約致し方の事
(12)人と参会致す心得の事
(13)下人召仕う心得の事
(14)養子衣類等に附き申附け方の事
(15)家居普請并諸道具の事
(16)逼塞致し方の事
(17)諸芸の農家害多き事
(18)酒宴の節心得ある事
(19)身の治め方心得ある事
(20)朋友善悪の事
(21)信心の致し方心得の事
(22)神祭福を祈る事
(23)訴訟致す心得の事
(24)堪忍致し方心得の事
(25)忌中勤め方の事
(26)家系の咄
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