一式造り物の民俗行事
−創る・飾る・見せる−

福原敏男・西岡陽子・渡部典子 著


2016年4月刊
A5判・250頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-958-0 C3039
6000円 (税別)
民俗行事の「造り物」は、小正月の左義長、七夕、祇園・天王祭系の夏祭り、地蔵盆、八朔、愛宕祭などの毎年の祭りや年中行事、さらに遷宮や開帳に伴う式年行事にも飾られる。伝承地の人びとが自ら楽しみながら創り、自家(店)などに飾り、夕刻や夜分に地元の人びとがそぞろ歩きをし、談笑しながら見るものである。
本書は上記のなかでも「一式」という製法・趣向に注目する。ここでいう「一式」とは、一揃いや一切という意味ではない。ある材料(既製品の日常生活用具など)のみを以て、人物などの作品を造ることであり、農具一式のように、用途(目的)を共通とする数種の材料による一式造り物も多い。材料に制約があってこそ、作品の見立てや面白味が生まれるという発想である。
本書では、既刊『ハレのかたち−造り物の歴史と民俗−』(岩田書院 2014)、『造り物の文化史−歴史・民俗・多様性−』(勉誠出版 2014)の成果を踏まえ、その製作工程にも注目。
【主要目次】 
近世大坂の一式造り物 福原 敏男
「一式」というこだわり ―種本から実践へ 西岡 陽子
造り物の伝承
 ―鳥取県南部町法勝寺一式飾りを事例として
渡部 典子
一式造り物の多様性 西岡 陽子
一式飾りの技法 ―陶器一式を中心として 西岡 陽子
愛知県高浜市の吉浜細工人形
 ―「天然自然物」一式―
福原 敏男
愛知県瀬戸市せともの祭の瀬戸物一式人形 福原 敏男
 
[コラム](執筆者)の記載のないものは福原執筆
 瀬戸物一式細工見世物興行/
 島根県出雲市平田の「ミニ一式飾り」制作体験記(小池 愛)/
 鳥取県南部町法勝寺一式飾りの制作技法(渡部)/
 荒物一式の虎/
 京都市興正 寺柱建て行事の金銭一式造り物/
 奈良県御所市東名柄の立山 ―かつての一式造り物―
現行一式造り物行事一覧 西岡 陽子
工程解説イラストレーション 中川 未子
 

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