川を守る人びと
治水・河童・相撲

藤原(ふじわら) 喜美子(きみこ)
(流通科学大学准教授/1974年生まれ)

2024年3月刊
A5判・318頁・上製本・函入
ISBN978-4-86602-833-0 C3039
6900円 (税別)
【流通科学大学民俗学研究会 発行/岩田書院 発売】
「河童の伝承には、相撲を好むという事例がある。その河童が子どもの姿で捉えられている。鹿児島県南さつま市金峰町高橋では、「高橋十八度おどり」とよばれる水神祭があり、子ども達が子ガラッパ(河童)の役柄をつとめ、相撲をおこなう行事がある。この高橋十八度おどりは、別名をガラッパ踊りともいう。人びとは、水難を免れるために水神をまつってきた。」(第1章第1節より)
本書は、この鹿児島の「ガラッパ踊り」をスタートに、筑後川・巨瀬川から長崎生月島へ、そして徳島へと、河童伝承と河川の治水の跡をたどり、播磨の大神と揖保川の伝承に至る。
それは、天皇の国造りのために必要とされた「河川の統治の歴史」を検討することを目的とし、「川を守る人びと」を訪ねる旅でもあった。
【主要目次】
第一章 水神の祭りと河童の相撲
 第一節 鹿児島県の高橋十八度おどりと子どもの相撲
―相撲の役割を担う子どもの年齢―
 第二節 鹿児島県の子供相撲と水神
―水神を大事にまつった人々の信仰―
第二章 筑後川の治水と巨瀬川の河童伝承
 第一節 筑後川の水天宮と河童への信仰
 第二節 筑後川の上流の地域と水天宮をまつった人びと
―大分県日田市の山間部における水運との関わり―
 第三節 巨瀬川と河童の伝承
―筑後川との関わりの中で―
 第四節 佐賀県の巨勢川と巨勢氏
―福岡県の巨瀬川にある巨勢氏の伝承との関わり―
第三章 水路(河川・池)を守る神・河童
 第一節 徳島県の多聞が淵の河童の伝承
―那賀川の大蛇の信仰との関わり―
 第二節 長崎県の生月島の河童石と石の堤
第四章 国造りをおこなった人々
 第一節 神へ奉納する相撲の所作
―神前における力士の所作が持つ意味―
 第二節 播磨国の伊和の大神と揖保川の伝承

【既刊】藤原喜美子著
 『オニを迎え祭る人びと―民俗芸能とムラ』御影史学研究会民俗学叢書17 2006年 5900円(税別)

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