「非常時」の記録保存と記憶化
―戦争・災害・感染症と地域社会―

地方史(ちほうし)研究(けんきゅう)協議会(きょうぎかい)
(会長:久保田昌希)

2023年5月刊
A5判・274頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-86602-155-3 C3021
3200円 (税別)
本書は、近年の「保存」から「保全」への動きも見据えながら、天災や人災など、さまざまな要因による資料滅失の危機を「非常時」の危機として捉えて、文書館・博物館図書館等々、資料保存施設や組織による多様な実践を紹介し、展望を見出そうとしたもので、シンポジウム「非常時の記録保存と記憶化を考える―コロナ禍の〈いま〉、地域社会をどう伝えるか―」(2021.9.18、オンライン開催)の成果を踏まえつつ、より内容の充実をはかるため、関連する活動・研究に第一線で取り組んでいる研究者・学芸員などが、新たに執筆陣に加わった。なお、シンポジウムの概要は、『地方史研究』415号(2022.2)に収録。
【主要目次】 
地域における「非常時」の記録保存と記憶化 宮間 純一
 T 戦争の記録保存
戦争体験の聞き取りと「戦争を伝えるもの」の記録
 ―「戦時下の小田原地方を記録する会」の活動を通して―
井上  弘
地域における戦争記録の継承を考える
 ―高知県の実践活動の検証―
楠瀬 慶太
地域に残された戦後社会事業史関係資料の価値
 ―「混血孤児」を保護した横浜「聖母愛児園」所蔵資料より―
西村  健
自治体に保存された戦争の記録
 ―東京都北多摩郡東村山町を事例として―
高野 宏峰
 
 U 大規模災害の記録保存
東日本大震災の震災遺産からの「気づき」とこれから
 ―「ふくしま震災遺産保全プロジェクト」の試み―
筑波 匡介
原発事故による全町避難と震災資料保全
 ―福島県双葉町における取り組み―
吉野 高光
図書館は非常時の記憶と記録をどう生かせるか
 ―「令和元年房総半島台風」での館山市図書館の取り組み―
飯田 朋子
一九一〇年関東大水害の記録・記憶と地域
 ―群馬県における災害とイベント「共進会」の開催―
土田 宏成
 
 V 感染症の記録保存
日本住血吸虫症と新型コロナウイルス感染症
 ―山梨県立博物館の資料収集を例に―
小畑 茂雄
一九六四年のコレラと二〇二〇年のコロナ
 ―「非常時」の千葉県における公文書―
飯島  渉
地域博物館におけるコロナ関係資料の収集
 ―北海道浦幌町立博物館の試み―
持田  誠

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