「建久四年曾我事件」と初期鎌倉幕府 曾我物語は何を伝えようとしたか 伊藤 邦彦 著 (東京都立産業技術高専名誉教授/1947年生まれ) 2018年7月刊 A5判・744頁・上製本・函入 ISBN978-4-86602-044-0 C3021 16800円 (税別) |
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建久4年(1193)5月、曾我十郎・五郎兄弟は、父の敵の工藤祐経を討った。兄弟は、なお頼朝の宿所めがけて突き進んだが、十郎はその場で殺害され、五郎は捕らえられて翌日処刑された。これが、日本三大仇討ちの第一に位置づけられる曾我兄弟の仇討ちである。 事は、それだけにとどまらず、6月に事件は常陸に飛び火し、8月には頼朝の弟源範頼が伊豆に配流。次いで頼朝古参の御家人大庭景義・岡崎義実が出家を強要された。 この一連の過程を、本書では、「建久四年曾我事件」と呼ぶ。 本書はではまず、事件に関する史実を掘り下げ、鎌倉幕府論の成果をもとに、その歴史的意義を闡明にする。そして『曾我物語』成立に関する「定説」を再検討し、「曾我物語は何を伝えようとしたのか」を明らかにし、軍記物語としての同書の特色を捉え直す。 前著『鎌倉幕府守護の基礎的研究』(岩田書院 2010)の著者が、全編、書き下ろしの新稿で問う、歴史学の立場からの『曾我物語』成立論。 |
【主要目次】 |
緒 言 本書の課題 |