立山信仰と三禅定
立山衆徒の檀那場と富士山・立山・白山

福江 (みつる)
(北陸大学准教授/1963年生まれ)

2017年11月刊
A5判・406頁・上製本・函入
ISBN978-4-86602-009-9 C3039
8800円 (税別)
評者:由谷裕哉(『日本民俗学』295  pp137-140  2018.08)評者:加藤基樹(『日本歴史』848  pp137-140  2019.01)
本書は、立山信仰の伝播者たる芦峅寺衆徒の東海地方での檀那場形成と、その地域で盛んであった三禅定の習俗について、特に江戸時代の実態について考察したものである。
この三禅定とは、富士山・立山・白山の三霊山を巡礼する、日本国内で最も壮大かつ苛酷な霊山・寺社の参詣旅行である。この三禅定関係史料が、なぜ芦峅寺の檀那場に多く残されているのか。本書では、これら道中記や、檀那帳を、32点・185頁におよぶ集計表としてまとめ、その分析を通して、立山信仰の広がりを明らかにする。
既刊『近世立山信仰の展開−加賀藩芦峅寺衆徒の檀那場形成と配札−』(岩田書院 2002)、『江戸城大奥と立山信仰』(法蔵館 2011)などに続く、新たな研究の方向を示す。
【主要目次】
第一章 霊場の形成と御師の活動
−越中立山に見る加賀藩と立山衆徒−

 幕藩体制下における、加賀藩と、霊場立山と、芦峅寺・岩峅寺の御師。
第二章 富士山・立山・白山を巡る三禅定の時期的変遷
−三禅定関係史料の分析から−

 江戸〜明治期の里程帳・道中記に記された里程・宿などから、巡礼コースを分析。特に、三禅定と白山山麓の馬場との関係。
第三章 芦峅寺宿坊家の尾張国・三河国・美濃国の檀那場と三禅定関係史料

 芦峅寺衆徒の東海地方における檀那場形成について、福泉坊・大仙坊・日光坊などの檀那帳・奉加帳の分析から、その実態を明らかにする。
第四章 石造物資料に見る江戸時代の三禅定
第五章 芦峅寺宿坊家が東海道筋に形成した檀那場
−特に駿河国と横浜の事例−

 実際の護符の頒布などは、村役人・町名主などの在地有力者に委託している。
第六章 芦峅寺衆徒が常陸国・上総国・下総国で形成した檀那場
−文献史上最北の檀那場−

 日本全国に檀那場を形成していたとされる通説の、北限を明らかにする。
第七章 芦峅寺教算坊が大坂で形成した檀那場と立山曼荼羅

 寛政12年の檀那帳の分析と、廻檀配札の際に使用された立山曼荼羅の検討。

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