昔話から“昔っこ”へ
−白幡ミヨシ・菊池玉の語りより−


吉川祐子編著
(静岡:民俗文化研究所代表)


2005年10月刊
ISBN4-87294-406-2
A5判・180頁・並製本

1800円

本書は、岩手県遠野市在住の白幡ミヨシさん(明治43年生)と菊池玉さん(昭和9年生)親子の語りを資料とする。ミヨシさんの「昔っこ(むがしっこ)」は、すでに『白幡ミヨシの遠野がたり』『遠野物語は生きている』にまとめた。また ミヨシさんから聞き取った遠野の民俗誌については『遠野昔話の民俗誌的研究』として刊行した(いずれも岩田書院刊)。
今回は、遠野という一地域の昔っこというより、女性が語る昔っこに重きをおいて、女性の立場、つまり嫁という立場、妻という立場、そして母という立場から読む試みをした。
なお遠野では、昔話・伝説・世間話などを総称して「昔っこ」と呼ぶ傾向があり、本書でも、狭義の昔話だけでなく、日常生活の中で生きている語りを採録する。

【主要目次】
第1章 女性語りの“昔っこ”
 立場の異なる二人の嫁/昔話の記憶化と個性化/ジェンダーへの目配り/
 男女差伝承の民俗/“昔っこ”の男女差伝承

第2章 他人から家族になる語り
嫁・姑の葛藤
 (話ばりする嬶/極楽見てきた婆さま/我が子の教え/鬼になった婆さま)
嬶への道
 (髪のない女と鼻のない男/屁っぴり嫁ご/カブ売り男/菖蒲と蓬/炭焼き長者/田植えを手伝った座敷童子/酒飲みと碾き臼)

第3章 親子の絆と子育ての語り
母の子育て父の役割
 (早瀬川原の親子石/お月お星/太郎次郎/童子の寿命)
親から子へのメッセージ
 (カラスに教えられたセヤミの息子/脂をとられたセヤミの話/カラスの巣作り/スズメとツバメ/カッコウとホトトギス)
子から親へのメッセージ
 (親を買った話/鬼の子小次郎/金のなるフクベ/ドドツコ)

第4章 女性が語る男性の語り
父子の絆
 (石屋の一人息子/三人息子にベコのケッペ三つ/百尋の縄の灰)
家の繁栄と没落
 (さとりの藤兵衛/出ていく座敷童子/クラボッコの話)

遠野の写真家 浦田穂一氏を悼む


 
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