葬儀と仏壇
−先祖祭祀の民俗学的研究−

ヨルン・ボクホベン著
(大阪大学大学院博士課程修了/1970年生まれ)


2005年10月刊
ISBN4-87294-404-6
A5判・298頁・上製本・カバー装

7900円
本書は、オランダ人である著者が、日本での6年間の調査をまとめた学位論文「日本における葬送儀礼と仏壇の意義」をもとに刊行するものである。
現地調査に基づき、葬送儀礼の機能や意義を宗教民俗学的な視点から捉え、ついで、仏壇の起源と歴史を論じ、現在の仏壇の機能と霊魂観を分析する。
【主要目次】
序 章 先祖祭祀の研究と霊魂観念
(死の受容と霊魂の存在/先祖祭祀研究における問題点/先祖祭祀をどう論じるか/死者の霊魂)

第1部 先祖祭祀における葬儀の意味と死霊の扱い方
     −墓と祭壇・死穢忌避と霊肉分離−
第1章 日本における葬墓制と死霊祭祀の歴史 
第2章 奈良市阪原町における葬送儀礼
(阪原町/死者が出た日/通夜の日/葬儀/埋葬と埋葬後の行事/葬儀後の行事)
第3章 奈良県阪原町における葬送儀礼の意味付け
(葬送における作業分担と死穢忌避/死体処理の儀礼・行動と死穢忌避の観念/死霊の扱い/墓と祭壇の関わり)
第4章 奈良市街における葬送儀礼
(島田家の背景/島田家の死者祭祀状況/死者が出た日/通夜/葬儀/火葬とその後/葬儀後の死者祭祀状況)
第5章 奈良市街における葬送儀礼の意味付け
(業者の役割の増大/死体の扱いと死穢忌避の観念/死霊の扱い/火葬と遺骨の問題/墓と祭壇の関わりと意義)

第2部 仏壇の起源及びその死霊祭祀における役割
第6章 民俗学における仏壇に関わる理論と問題点
第7章 仏壇の起源に関する理論の再検討
 (竹田聴洲「仏壇の成立する民俗学的理論」について/仏壇の起源論についての一考察−持仏堂説・盆棚説を巡って−)
第8章 仏壇の発生に関わる諸要素
 (寺請制度の導入と先祖祭祀の普及/位牌の登場と仏壇の発生/聖の役割/浄土真宗と仏壇の発生/仏壇屋の出現)
第9章 死霊祭祀における霊魂の扱い方
     −島根県斐川町における仏壇祭祀と霊魂観念−
(斐川町/斐川町の仏壇祭祀/仏壇祭祀の意味付け)