織田・徳川同盟と王権
―明智光秀の乱をめぐって―

小林 正信 著
(織豊期研究会会員/1962年生まれ)

2005年5月刊 
ISBN4-87294-370-8
A5判・373頁・上製本・函入

7900円
品切れ
すいせん:三鬼 清一郎(神奈川大学教授)
「最近における「本能寺の変」の研究は大きく進展した。たんなる主君(織田信長)謀殺事件では片づけられない複雑な要因があり、その背後には朝廷の関与、将軍義昭の策動、さらには本願寺やキリシタンなど宗教勢力の影響が認められるといった見解が数多く発表されている。小林正信氏は、本務の余暇に史料の収集を重ね、東海地域で結成された「織豊期研究会」に参加して研究を深めて来られた。事件そのものは明智光秀による「制度防衛」であるという主張は、光秀の政権構想をふまえた権力構造論・国家論の本質に迫る問題提起で、ひろく学界という共通の土俵上で検証されるべき内容を備えたものといえよう。」

【参考論文】
小林正信「織田政権のモラトリアムと「覇者」の類型(上)」
(『郷土文化』62-2、名古屋郷土文化会、2008.2)
小林正信「織田政権のモラトリアムと「覇者」の類型(下)」
(『郷土文化』63-1、名古屋郷土文化会、2008.8)

【主要目次】
  
序 章 光秀の矮小化と信長の神格化
 (歴史用語の問題と皇国史観の影/フロイスの『日本史』について)

第1章 室町幕府滅亡年時と織田政権
 (室町幕府の政治構造と信長/義昭追放の意義/織田政権における武家官位制/室町幕府滅亡年時)
第2章 明智光秀と制度(足利幕府体制)防衛
 (明智光秀と奉公衆の関係/三つの将軍権力襲撃事件−将軍御所・本国寺・本能寺)
第3章 織田・徳川同盟と天下布武の構造
 (織田・徳川同盟(清洲同盟)/足利氏と新田庶流徳川氏/天正十年家康の饗応をめぐる諸事情/東西複合国家体制と織田政権/天下布武の構造)
第4章 非象徴天皇正親町院と公家一統の夢
 (室町時代における王権の推移/朝廷の政治介入とキリスト教伝来/朝山日乗の夢)
第5章 織田・足利新旧武家政権の相殺と王権の浮上
 (明智光秀の政権構想/家康逃亡と光秀没落の諸事情/王権の浮上と秀吉による織田家簒奪/織田家の墓標)
第6章 天下布武の挫折と元和偃武への道
 (豊臣政権の成立過程/第三次武家同盟の形成)
補 論 明智光秀の出自
 (信長による呼称秩序の紊乱と明智光秀/明智光慶について)
終 章 我国の国権のあり方をめぐって−一元的価値体系と二元的価値体系の相克−
 (国権の移転循環論/国制の二面性と千年闘争史/国権の移転における外的要因)

ご注文へ TOPEへ