薩摩藩文化官僚の幕末・明治
木脇啓四郎『萬留』―翻刻と注釈―

原口 泉・丹羽謙治・下原美保・河津梨絵・入船もとる・
安達晃一・加治屋貞之 共編


2005年3月刊行
A5判・358頁・上製本・函入
ISBN4-87294-360-0
6000円

本書は、幕末の薩摩藩文化官僚・木脇啓四郎(文化14年−明治32年[1817-1899])が 晩年に著した『萬留』を翻刻し、詳細な注釈をほどこしたものである。
啓四郎は、薩摩藩城下士、木脇家の分家の嫡男として、父の赴任先の沖永良部島で出生。14歳から茶坊主として出仕し、その後、花道の師範となる。二度の江戸詰で、甲冑の製造法に熟達するとともに、有職故実を栗原信充から学び、鹿児島に帰って甲冑製造所の責任者となった。また、島津久光の指示で薩摩藩版の刊行に関与、明治になってからは、鹿児島県の依頼により『麑海魚譜』『薩隅煙草録』の編集に参加するなど、生涯 薩摩の文化を陰で支え続けた。『萬留』は、幕末・維新期を生きた人物の一代記であるとともに、当時の薩摩藩内部の様子を伝える好資料である。

【本書の構成】

解題:木脇啓四郎と『萬留』─────鹿児島大学助教授 丹羽 謙治
木脇啓四郎年譜
萬留:本文と注釈(右頁に翻刻を、左頁に注釈を載せる。注釈は人名・地名・事項に関し てできる限り詳しく解説し、『萬留』に描かれた豊かな世界と 啓四郎の多彩な業績を理  解できるようにした)
《萬留の主な内容》
・木脇啓四郎の生い立ち(沖永良部から鹿児島までの幼少時の回想)
・花道修行、初めての江戸上り、甲冑製造所設立の経緯、島津斉彬の命による領国の武器 や古器の調査、島津久光による藩版製作、『麑海魚譜』『薩隅煙草録』編纂
・薩摩の人物のエピソード:島津斉彬、島津久光、島津忠寛、松山隆阿弥、山口不及、伊 地知季安・季通、海老原清煕、桐野孫太郎、有村仁右衞門(海江田信義・有村雄介らの 父)、森有礼、森山新蔵、大山綱良、樺山資紀など
・薩摩藩に伝わる数々の伝承・逸話、啓四郎の奥州・越後・北関東の旅行記
参考資料:藤原朝臣木脇氏系図・関係地図 索引(人名・地名・事項)

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