一遍聖絵の総合的研究

砂川 博編
(相愛大学教授/1947年生まれ)

2002年6月刊

A5判・268頁・上製本・カバー装
ISBN4-87294-251-5
5800円
品切れ
国宝絵巻『一遍聖絵』の総合的研究の成果。
「本書所収の論文は、いずれも『一遍聖絵』を宗教絵巻として解読するという視点を持している。ここで開陳された新見・創見の数々は、全てそうした視点に負うところが大きい。従来の研究には、この視点が少なからず欠落していたのではなかったか。…『一遍聖絵』が、衆生済度を目的とした宗教絵巻であることに 改めて思いを致す必要があろう。『一遍 聖絵』の真の解読は、それを視座として、その絵と詞を等分に見つめ直すことから始まる。
 もう一つ重要なことは、『一遍聖絵』が聖戒によって制作されたという事実を きちんと 押さえることである。実は これこそが、『一遍聖絵』解読のキイワードでなければならな いはずのものである。従来の研究は、この点を過小に評価してきたのではなかったか。そこに描かれた「一遍」は、必ずしも実在の一遍とは重なるものではない。聖戒の施した網の目が被さっている。今日まで『一遍聖絵』を相対化する視線は『一遍上人絵詞伝』によって得られたが、今後は聖戒の視点を考慮することが不可欠である。」 (「あとがき」より)
【主要目次】
一遍の天王寺賦算と乞食 金井 清光
踊り念仏論 砂川 博
中世神話と宗教―『一遍聖絵』における名号と入水 桜井 好朗
『一遍聖絵』における一遍の社寺参詣 松尾 恒一
『一遍聖絵』に見る草履・草鞋と被差別民の草履作り 金井 清光
「医聖」としての一遍 砂川  博
『一遍聖絵』もう一人の編者 高野  修
『一遍聖絵』本文の検討 梅谷 繁樹
―六条道場本と御影堂本の比較から御影堂新善光寺の性格に及ぶ―
『一遍聖絵』と『遊行上人縁起絵』
古賀 克彦
―特に「丙本系」の「常称寺本」「遠山本」と「土佐派粉本」を用いて―
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