「鬼子」と誕生餅
初誕生儀礼の基礎的研究:九州・沖縄編

近藤 直也著
(九州工業大学教授/1954年生まれ)

2002年4月刊
A5判・544頁・上製本・カバー装
ISBN4-87294-247-7
3800円

2015年11月*4刷出来

 「初誕生儀礼に際し、「鬼子」の記憶を強く残す一歳未満で歩く子供には、餅を背負わせて 無理やり倒していた。一方、満一歳までに歩かなかった子供に対しては、餅を背負わせ、足腰を支えて無理やりにでも歩かせ、儀礼上、初誕生日当日に歩き始めた事にしていた。満一歳の誕生日当日に、子供が歩くか否かによって、同一の儀礼が全く正反対意味を持つ。
 
 この点から、子供の実際の状態がどうであれ、儀礼的にはどんな子供も初誕生日当日に歩き始めるべきものという一つの枠組みが透けて見える。この枠組みを序章で詳述したが、ここでも「初誕生初歩きの原理」と名付けておきたい。這い這いから二足歩行へのケジメの儀礼なのである。」(本書より)

 本書は、ほぼ同時期に刊行した近藤著『「鬼子」論序説―その民俗文化史的考察』(2002年 岩田書院)で述べた「鬼子」の4つの特徴や、全国に分散する「鬼子」伝承を念頭に置きながら、地域を九州・沖縄地方に限定し、さらに「一歳未満の歩行」に強くこだわり、「初誕生儀礼」とは そもそも何であったか、その本質の究明を試みる。
【主要目次】
序 章 「初誕生初歩きの原理」の発見
―福島県下における初誕生儀礼の事例から―
第1章 福岡県下における初誕生儀礼
第2章 佐賀県下における初誕生儀礼
第3章 長崎県下における初誕生儀礼
第4章 熊本県下における初誕生儀礼
第5章 大分県下における初誕生儀礼
第6章 宮崎県下における初誕生儀礼
第7章 鹿児島県下における初誕生儀礼
第8章 沖縄県下における初誕生儀礼
第9章 初誕生儀礼の研究史
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